ここでは助動詞”can”について詳しく解説していきます。
助動詞”can” にはいくつかの意味がありますので、確認していきましょう。
「できます」のいろんな意味
私たちは日本語を使う中で、さまざまな意味で「できます」を使っています。
この無意識で使っている「できます」を整理することで、実は”can”の理解につながります。
以下の日本語がどんな状況で 意味で使われているか比較していきましょう。
1) 私は英語を話すことができます。
2) あなたは幸せになることができます。(幸せになれます)
3) あなたは私の携帯を使うことができます。(使えます)
4) 私があなたの携帯を使うことができますか?(使ってもいい?)
5) あなたは私を手伝うことができますか?(使えますか?)
※ ( )の中には、日常会話で使うであろう表現をいれました。
以上の5つの「できます」はどんな気持ちを状況で使っているでしょうか。
深堀りをしてみましょう。
1)[能力] 私は英語を話すことができます。
⇒ これは「私」の能力を表しています。「話す能力」があるということですね。
2)[可能性] 私たちは幸せになることができます。(幸せになれます)
⇒ この文の「できます」は、幸せになる「可能性」があることを表しています。
話し手には「幸せになる可能性が十分にあります」という気持ちが込められています。
3)[許可] あなたは私の携帯を使うことができます。
「使うことができます」=「使ってもいいよ」という意味です。
ですので、この文の「できます」は、「許可」表しています。
もし「能力」だったら、「私の携帯を使う能力がある」となり、違和感ですよね。
4)[許可] 私があなたの携帯を使うことができますか?(使ってもいい?)
この文の「できますか」は、相手の「許可」を得ようする表現です。
言い換えれば「使ってもいいですか」という気持ちが込められています。
もし「能力」だったら、「私はあなたの携帯を使う能力がありますか」となり、違和感しかないですよね。相手も「今日にどうした!?」となるでしょう。
5)[依頼] あなたは私を手伝うことができますか?(手伝えますか?)
この文の「できますか」は、相手に「依頼」するときの表現です。
相手に「手伝う余裕や時間がありますか?」と、助けを求めているわけですね。
もし「能力」だったら、「あなたは私を手伝う能力がありますか」となり、違和感しかないですよね。相手も「なんて失礼な!!」となるでしょう。
例文で示したように、「できます」という表現には、いろんな気持ちを込めて私たちは無意識に使っています。
すべて能力を表しているわけではないということですね。
これは、ネイティブの方が助動詞の”can”を使う時も同じです。
ネイティブの方も助動詞”can”は文脈や状況によって、「能力」だけでなく、さまざまな気持ちを込めて使っています。
例文と一緒にその意味を確認していきましょう。
can(能力・可能)「~することができる」
例文
1) I can play the piano. (能力)
私はピアノを弾くことができます。
2) I can trust him. (可能)
私は彼を信頼することができます。
例文1)の”can”は主語の「能力」を表し、「~する能力がある」を表します。
例文2)の“can”は主語の「可能」を表し、「~することが可能である」を表します。
一般的な”can”の「能力」を表す表現です。
否定文
1) I can’t(cannot) play the piano. (能力)
私はピアノを弾くことがでません。
2) I can’t(cannot) trust him. (可能)
私は彼を信頼することができます。
例文1)の”can”は主語の「能力」を表し、「弾く能力がない」という意味です。
例文2)の”can”は主語の「可能」を表し、「信頼することが不可能である」を表します。
疑問文 〜許可の意味に変わる〜
1) Can I play the piano. (許可)
私はピアノを弾くことができますか(弾いてもいいですか?)。
2) Can I trust him. (可能)
私は彼を信頼することができますか(信頼してもいいですか?)。
例文1)の”can”は主語の「能力」を表すのではなく、「弾いても大丈夫ですか?」という「許可」を求める意味になります。
自分の「能力」を聞くなんて、状況的にあり得ませんね。
例文2)の”can”は主語の「可能」を表しており、「彼を信頼して大丈夫ですか?」という意味です。
日本語の意味を普通に捉えてください。
can(可能性)「~する(なる)可能性がある」=「~することがありうる」
1) A: my son lied to me yesterday. I never thought he would do that.
私の息子は昨日私に嘘をついた。私は彼がそうするだろうとは思っていませんでした。
B: anybody can tell a lie. He is growing up.
誰でも嘘をつく可能性があります(ことができます)。彼は成長していますね。
*tell a lie 嘘をつく
2) A: My roommate told me a story in his childhood but I can’t believe it.
ルームメイトが子供の頃の話をしてくれましたが、信じられません。
B: the story can be true. I know a lot about his childhood.
話は本当の可能性があります(かもしれません)。私は彼の子供時代についてよく知っています。
例文1)の”can”は「可能性」を表し、「嘘をつく可能性がある」ことを表します。
例文2)の”I can’t belive him”は主語の「可能」を表し、「信じることが不可能である」という意味です。
”the story can be true.”は「可能性」を表し、「その話は本当の可能性がある」という意味です。
否定文
1) A: my son lied to me yesterday. I never thought he would do that.
私の息子は昨日私に嘘をついた。私は彼がそうするだろうとは思っていませんでした。
B: He cannot tell a lie. he is always honest.
彼が嘘をつく可能性はない(嘘をつくはずがない)。彼はいつも誠実です。
*tell a lie 嘘をつく
2) A: My roommate told me a story in his childhood but I can’t believe it.
ルームメイトが子供の頃の話をしてくれましたが、信じられません。
B: the story cannot be true. I know a lot about his childhood.
その話が本当の可能性はない(本当のはずがない)。私は彼の子供時代についてよく知っています。
例文1)の”can”は「可能性」を表し、「嘘をつく可能性がない」=「嘘をつくはずがない」ことを表します。
例文2)の”I can’t belive him”は主語の「可能」を表し、「信じることが不可能である」という意味です。
”the story cannot be true.”は「可能性」を表し、「その話は本当の可能性がない」=「本当のはずがない」という意味です。
疑問文
1) A: my son lied to me yesterday. I never thought he would do that.
私の息子は昨日私に嘘をついた。私は彼がそうするだろうとは思っていませんでした。
B: Can he tell a lie. he is always honest.
彼が嘘つくなんてあり得ますか?(嘘をつく可能性がありますか)。彼はいつも誠実です。
*tell a lie 嘘をつく
2) A: My roommate told me a story in his childhood and It was so interesting.
ルームメイトが子供の頃の話をしてくれましたが、とても興味深いものでした。
B: Can the story be true? I can’t believe him.
その話は本当ですかね(本当の可能性がありますか)。私は信用できません。
例文1)の”Can he tell a lie”は「可能性」を表し、「嘘をつく可能性がありますか」という意味です。
例文2)”Can the story be true.”は「可能性」を表し、「その話は本当の可能性がありますか」という意味です。
“I can’t belive him”は主語の「可能」を表し、「信じることが不可能です」という意味です。
can(許可)「~していいよ」「してもいいですか」
1) A: I forgot my pen at home.
家にペンを忘れちゃった。
B: You can use my pen, if you want.
もし必要なら、私のペンを使ってもいいよ(使うことができます)。
ここで使われる”can”は「許可」を表し、
「私のペンを使うことできます」=「使ってもいいよ」
という「許可」表してます。
疑問文で「許可」・否定文で「不許可」
1) A: I forgot my pen at home. Can I use yours?
家にペンを忘れてしました。あなたのペンを使ってもいいですか(使うことができますか)。
B: You cannot use mine because I only have this pen. I’m sorry.
このペンしかないので、私のを使うことができません(使っちゃダメです)。ごめんさい。
ここで使われる”can”は「許可」を表し、
”Can I use yours?”は「あなたのペンを使うことができますか」=「使ってもいいですか」という「許可」表してます。
2つ目の”You cannot use mine”は「私のペンを使うことができません」=「使っちゃダメです」という「不許可」の意味で使われています。
can(依頼)「~してもらえますか(食べることができますか)」(疑問文のみ)
1) Can you help me with my homework?
宿題を手伝ってもらえますか(手伝うことができますか)?
上の例文の”can”は主語に「依頼(お願い)」を表しています。
「手伝うことはできますか?」=「手伝ってもらえますか?」というお願い(依頼)をしています。
疑問文で”can”を使って依頼を表すこともできます。
“can”の使い方まとめ
役割 | 意味 |
---|---|
能力 | 〜することができる (〜する能力がある) |
可能 | 〜することができる (〜することが可能だ) |
可能性 | ~することがありうる (〜する可能性がある) |
許可 | 〜してもいいですか? (〜することができますか) |
依頼 | 〜してもらえますか? (〜することができますか) |
※「可能性」を表す”can”以外は、「できる」「れる」「られる」で表現できます。
例「食べる」→ 「食べることができる」「食べれる」「食べられる」(可能動詞)
文脈や表現の仕方で、日本語でも使い分けていることに注意しましょう。
“could” の意味は過去形だけではない
能力・可能「~することができた」
例文
1) I could swim longer when I was in high school. (能力)
高校生の時はもっと長く泳げた(泳ぐことができた)。
2) I could trust him before. (可能)
以前は彼を信頼できた。
例文1)の”can”は主語の「能力」を表し、「~する能力がある」を表します。
例文2)の”can”は主語の「可能」を表し、「~することが可能だった」を表します。
可能性「~かもしれない (~する可能性がある)」
“Could”は「可能性」を表す時にも使われます。この場合、推量を表す“might”と似た役割を果たし、
過去の意味ではなく、現在または未来の可能性を表すことができます。
※ “can” も可能性を表しますが、”could”を使う場合、”can”よりも可能性が低くなります。
2) A: My roommate told me a story in his childhood but I can’t believe it.
ルームメイトが子供の頃の話をしてくれましたが、信じられません。
B: the story could be true. I’m not sure.
話は本当の可能性があります(かもしれません)。確証はありませんが。
*canより可能性が低い
許可(丁寧)「~してもいいですか?(することができますか)」(疑問文のみ)
“Could”は「許可」を表す時にも使われます。
この場合、過去の意味ではありません。
”could”を使う場合、”can”よりもより丁寧な表現になります。
I forgot my pen at home. Could I use yours?
家にペンを忘れてしました。あなたのペンを使ってもいいですか(使うことができますか)。
*canより丁寧
依頼(丁寧)「~してもらえますか(することができますか)」(疑問文のみ)
“Could”は”can”と同様に疑問文で「依頼」を表す時にも使われます。
この場合も、過去の意味ではありません。
”could”を使うことで、”can”よりもより丁寧な表現になります。
1) Could you help me with my homework?
宿題を手伝っていただけますか(手伝うことができますか)?
“could”の使い方まとめ
役割 | 役割 | canとの関係 |
---|---|---|
能力 | 〜することができた (〜する能力があった) | canの過去形 |
可能 | 〜することができた (〜することが可能だった) | canの過去形 |
可能性 | (可能性として)〜するかもしれない (〜する可能性がある) | canより可能性が低い |
許可 | 〜してもいいですか? (〜することができますか) | canより丁寧 |
依頼 | 〜してもらえますか? (〜することができますか) | canより丁寧 |
canとの関係に注意してください。
“could”は”can”の過去形として使われないことが多いということですね。
日常会話でも、ほとんどの場合”could”は丁寧表現や、可能性の意味で使われます。
can と be able to の使い分け
“be able to”は”can”と同様に「できる」という意味で「能力」や「可能」を表すことができます。
しかし、「依頼」「許可」「可能性」の意味で使うことはできません。
「能力・可能」例文
1) I can play the piano. (能力)
=I am able to play the piano.
私はピアノを弾くことができます。
2) I can trust him. (可能)
=I am able to trust him.
私は彼を信頼することができます。
「依頼」「許可」「可能性」では使えない
1)the story can be true.(可能性)
× →the story is be able to be true.
その話は本当かもしれない。
2) Can I use your pen (許可)
× → Am I able to use your pen.
ペンを使ってもいいですか。
3) Can you help me with my homework?
× → Are you able to help me with my homework?
宿題を手伝ってもらえますか?
以上のような用法では使われません。
“be able to”は助動詞の後ろなどで用いられる。
× → I will can stay longer
○ →I will be able to stay longer
もっと長く入れるでしょう。
この場合は、絶対に”can”を使うことができません。
助動詞を2つ連続で使うことは不可能です。
×「will can」→ ○「will be able to」
“could”と”was(were) able to”の使いわけ
二つの表現の違いを簡単にまとめます
”could”=過去に持っていた能力(継続的)
”was(were) able to”=過去に可能だった経験(一度きり)
否定のcouldn’t=過去に持っていた能力(継続的) と過去に可能だった経験(一度きり)の両方を表すことができます。
1)I could swim 1,500 meters. <いつでもできた(能力があった)>
2)I was able to1,500 meters. <実際にできたこと(一度の経験)>
この二つの違いは
1)では「昔は1500メートル泳げたよ」という能力を示すのに対し
2)では「あの時1500メートル泳げた」という、その時1度きりの経験を表しています。
伝わる印象が変わることに注意しましょう。
1)I could pass the entrance exam last year.<いつでもできた(能力があった)>
2)I was able topass the entrance exam last year.<実際にできたこと(一度の経験)>
去年その入試に合格することができた。
この二つの例文はいかがでしょうか。
ある大学の入試に合格するのは、いつもできた能力ではなく、そのときに実際にできた一度きりの経験です。
ですので、”was able to”を使った2)の例文の方が正しいということになります。
否定の場合は”couldn’t”を使うことができる
否定の場合を見てみましょう。
1)I couldn’t pass the entrance exam last year. <実際にできたこと(一度の経験)>
2)I was able to pass the entrance exam last year. <実際にできたこと(一度の経験)>
去年その入試に合格することができなかった。
否定の場合は<実際にできたこと(一度の経験)>でも
”couldn’t”を使うことができます。
まとめ
今回は助動詞canについてまとめてきました。
もう1度ここで再確認しましょう。
助動詞can/could/be able toの特徴のまとめ
※1 青い部分の”could”と”was able to”の違いに注意しましょう。
※2 オレンジ色の部分に注目してください。
“could”は「過去形」の意味だけではないことに注意しましょう。
以上で、助動詞”can”のまとめとなります。
今日もありがとうございました。