不定詞

不定詞と動名詞にはそれぞれイメージがある

坪田塾

いきなりですが問題です。

あなたと友人がランニングしながら会話の中で使う表現として、正しいのは下の2つの文のうちどっち?

① Running is very fun.

② To run is very fun.

to不定詞(to run)だと、「これから走ること」というニュアンスになり、「これから走るのが楽しみ」という意味になります。

実際に走っている状況という意味では、「(いま)走っているのが楽しい」という意味を表わす動名詞がしっくりきます。

同じように使えても、動名詞とto不定詞ではニュアンスが異なります。

その違いについてここでは学んでいきましょう。

不定詞と動名詞のイメージの違い

以下が【to不定詞】と【動名詞】のイメージの対比です。

動名詞のイメージto 不定詞のイメージ
動名詞「後ろ向き・過去志向」to 不定詞「前向き・未来志向」
●過去志向「過去にしたこと・経験済みのこと」

●消極的(中断・逃避)

●反復(習慣的)「いつもしていること」
○未来志向「これからすること」
 
○積極的(意志・願望)
 
○単発(偶発的)「偶然すること」

動名詞のコアイメージは「後ろ向きで過去志向」です。

to 不定詞のコアイメージは「前向きで未来志向」です。

これらのイメージを理解すると、動詞の後ろにとる形が”動名詞(-ing)”と”to 不定詞(to do)”のどちらをとるかが判断しやすくなります。

不定詞と動名詞のイメージの違いから、動名詞をとる動詞とto不定詞をとる動詞を見極める。


動名詞をとる動詞

●過去志向「過去にしたこと/経験済みのこと」
   
to 不定詞をとる動詞

○未来志向「これからすること」

・admit -ing「〜したことを認める」
・enjoy -ing「〜することを楽しむ」
・recall -ing「〜したことを思い出す」
「希望・同意・要求」のイメージ
・want to do「〜することを願う」
・hope[wish/desire] to do「〜することを望む」
・agree to do「〜することに同意する」
・offer to do「〜することを提案する」
・demand to do「〜することを要求する」

「計画・決心」のイメージ
・plan to do「〜することを計画する」
・promise to do「〜することを約束する」
・decide to do「〜することを決意する」
・tend to do「〜する傾向がある」
・expect to do「〜するつもりである」
・prepare to do「〜することを準備する」
●消極的(中断・逃避) ○積極的(意志・願望)
「中断」のイメージ
・stop / quit / give up「〜することをやめる」
・finish「〜することを終える」

「逃避」のイメージ
・miss「〜しそこなう」
・avoid / escape「〜するのを避ける」
・put off / postpone / delay「〜するのを延期する」
・deny「〜することを否定する」
・resist「〜することに抵抗する」

「積極的」なイメージ
・afford to do「〜する余裕がある」
・manage to do「なんとか〜する」
・learn to do「〜することを身につける」
・try to do「〜しようとする」
・attempt to do「〜しようと試みる」
・mean to do「〜するつもり」
・seek to do「〜しようと努める」
●反復(習慣的)「いつもしていること / 何度も繰り返すこと」○単発(偶発的)「偶然すること / 一度きりのこと」
・practice「〜することを練習する」
・consider「〜することをよく考える」
・mind「〜することを嫌に思う/気にする」
・recommend「〜することを勧める」
・suggest「〜することを提案する」
・discuss「〜することを話し合う」
・imagine「〜することを想像する」

・happen to do「たまたま〜する」
・pretend to do「〜するふりをする」
・prove to do「〜だと判明する」
・turn out to do「〜だと判明する」
☆「否定」のイメージだけど「これからすること」
・hesitate to「~をこれからするのをためらう」
・refuse to「〜をこれからするのを拒む」
・fail to「〜をこれからするのに失敗する」

【to不定詞】と【動名詞】のイメージを対比しながら、動詞の意味を覚えれば、暗記するだけではなくネイティブに少し近い感覚で覚えることができます。

目的語に不定詞か動名詞をとるかで意味が変わる動詞

この2つの英文の違いがわかりますか?

 例文1: Please remember to send the e-mail to Mr. Smith.

「スミスさんにそのe-mailを送ることを覚えておいてください」

 例文2: Do you remember sending the e-mail to Mr. Smith?

「スミスさんにそのe-mailを送ったことを覚えていますか?」

 例文1:のto sendは「未来的」であり動詞的(これから起こる動作)です。

 例文2:のsendingは「過去的」であり名詞的(既成事実)です。

 これらの〔例文〕でわかるように、不定詞を名詞的に使うか、動名詞を使うかによって、正反対のイメージになります。

動詞 + 動名詞 / to 不定詞意味違い
(動名詞) remember ~ing~したことを覚えている(過去に)経験済みのこと
(不定詞) remember to ~ ~することを覚えている (未来に)これからすること
(動名詞) regret ~ing ~したことを後悔している (過去に)経験済みのこと
(不定詞) regret to ~ 残念ながら(これから)~しなければならない (未来に)これからすること
(動名詞) tried ~ing 試しに~してみた 実際にやってみた
(不定詞) tried to ~ ~しようとした 実際にはまだやっていない
(動名詞) forget ~ing ~したことを忘れる (過去に)経験済みのこと
(不定詞) forget to ~ ~することを忘れる (未来に)これからすること
(動名詞) mean ~ing 〜することを意味する (過去に)経験済みのこと
(不定詞) mean to 〜 〜するつもりである (未来に)これからすること
(動名詞) need ~ing 〜されることが必要である 消極的=受動的な考え
(不定詞) need to 〜 〜することが必要である 積極的な考え
(動名詞) go on ~ing 〜し続ける(今までしてきたことを) 反復行為
(不定詞) go on to 〜 次に〜する (未来に)これからすること

Practice (  )内の動詞を適切な形に変えなさい。7)は正しいものを選びなさい。


1) Remember (hand) this to your mother.
2) I remember (read) this story before.
3) I tried (call) you, but I was too busy…
4) I tried (call) you, but the *telephone line was busy…   *電話回線
5) I regret (leave) the bag in an unlocked room. I should have been more careful.
6) I regret (say) that you are not chosen as a candidate for the final selection.

7) “I‘d better call our neighbor to ask her to check the door of our apartment.”
  “You don’t have to do that. I remember ( ) it when we left.”

   1.lock   2.locking   3.to be locked   4.to lock

解答


1) Remember to hand this to your mother.

(これをお母さんに渡すのを忘れないでください)
「お母さんに渡す」行為はこれから(未来)のことなので、to 不定詞を使います。

2) I remember reading this story before.

(私は前にこの話を読んだことを覚えています)

→ ”before(以前に)”に注目!!物語を読んだの以前(過去)のことなので、動名詞使います。

3) I tried to call you, but I was too busy…

(電話をかけようとしたのですが、あまりに忙しすぎた…)

→「電話しようとしたけど、あまりに忙しかった」ということは、実際には電話をかけてないことになります。そのため、電話をする行為はこれから(未来)のことなので、to 不定詞を使います。

4) I tried calling you, but the *telephone line was busy…   *電話回線

(電話をかけてみましたが、*電話回線が混んでいました…)
→ 「電話回線が混んでいた」ということは、実際には電話をしたということですね。つまり、電話をする行為を実際に過去にしたので、動名詞を使います。

5) I regret leaving the bag in an unlocked room. I should have been more careful.

(鍵のかかっていない部屋にバッグを置いてしまったことを後悔しています。もっと気をつけるべきだった)
※regret は「後ろめたい気持ちがある」ことを表しています。

それが過去にあったことなのか、これからのことなのかを判断します。

5)では”I should have been more careful”「もっと気をつけるべきだった」と述べているので、過去に後ろめたい気持ちがあることがわかります。

ですので、バッグを部屋に置いてきたことを後悔しているので、過去にしたことを表す動名詞を使います。

6) I regret to say that you are not chosen as a candidate for the final selection.

(あなたは最終選考の候補者には選ばれてないことを、残念ながら言わなければなりません)

6)ではこれから言うことに後ろめたい気持ちがあることを表しているので、to不定詞を使います。

regretは「後ろめたい気持ちがある」時に使う動詞です。

過去に後ろめたい気持ちがあると「後悔する」(過去を悔やむ)という訳になります。

未来にすることに後ろめたい気持ちがあると、「(これから)〜することを残念に思う」という訳になります。

日本語訳にすると違う意味のように思いますが、本質的には一緒であることを理解してください。

7) “I‘d better call our neighbor to ask her to check the door of our apartment.”
  “You don’t have to do that. I remember locking it when we left.”

 この問題は家を出た時に鍵をかけたか忘れてしまったという展開なので、「それを確認する必要ないよ」と言ったBさんの根拠には「過去に鍵をかけたことを覚えている」ということがわかりますね。ですので、過去にしたことを表す動名詞を使います。

まとめ

今回は動名詞と不定詞のイメージについてまとめました。

もう一度下の表で確認しましょう。

動名詞のイメージto 不定詞のイメージ
動名詞「後ろ向き・過去志向」

●過去志向「過去にしたこと・経験済みのこと」

●消極的(中断・逃避)

●反復(習慣的)「いつもしていること」
to 不定詞「前向き・未来志向」

○未来志向「これからすること」
 
○積極的(意志・願望)
 
○単発(偶発的)「偶然すること」

このように動名詞と不定詞のコアイメージを持つことで、単なる暗記から少しネイティブのイメージに近づき、覚えることを減らすことができます。

何と言っても、物事の本質を理解することは楽しいですよね。

覚えただけでなく、どんどん表現を使って、最終的には考えなくても使えるようになるようになりましょう。

今日もありがとうございました。

ABOUT ME
ゆん
現役英語教師をしながら英語に関する情報を書いています。今年で教員生活10年目になります。みなさんに役立つ情報をできる限り発信していきたいと思います。